印刷に使われる紙は、表面が滑らかで弾力性がありインキの中に含まれているワニスをよく吸い取ることなどの「印刷適性」が必要とされます。紙の表面の滑らかさは、インキの付き具合や原稿の再現に影響します。またインキを吸収する速さもきちんとつかんでおかないと、インキの光沢が失われたり、裏写りしたりします。
印刷の種類と印刷機
平版印刷
水と油の反発作用を利用した印刷方法です。文字や絵の部分にインキが付着して、白くなる部分はインキがはじかれる仕組みになっています。
一般的なカラー印刷でよく使われるオフセット印刷機が、この方法を使っています。
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凸版印刷
凸部分にインキを付着させて印刷する方法です。凹んだ部分は白地になります。
年賀状で作られるイモ版をはじめ、ゴム印などが身近です。大量印刷の分野では活版印刷機が、この方法の代表例です。
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凹版印刷
凹んだ部分にインキを流し込み印刷します。平坦な部分が白地となります。
雑誌などを印刷するグラビア印刷機がこの方法を使っています。
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孔版版印刷
サ油やパラフィンなどで防水処理した特殊な紙などに、孔をあけて印刷する方法です。
ガリ版印刷機やタイプ印刷機がこの方法を利用しています。
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印刷物ができるまで
基本的な手順
企画の段階では広告代理店とか企画制作会社、デザイン会社などで請け負う場合が多いのですが、印刷会社でも各種の資料提供や、スタッフ協力によって発注者へのお手伝いをすべきです。必要があれば、取材・調査・撮影・原稿作成なども行います。
基本的なプロセス(DTPワークフロー)
1.企画・取材
企画の段階では広告代理店とか企画制作会社、デザイン会社などで請け負う場合が多いのですが、印刷会社でも各種の資料提供や、スタッフ協力によって発注者へのお手伝いをすべきです。必要があれば、取材・調査・撮影・原稿作成なども行います。
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2.デザイン・編集・制作
印刷物は、文字と写真、イラスト、図表などによって構成されます。写真やイラスト、文字原稿が企画趣旨とうまくマッチしているかを考えて、集まった原稿を整理してデザイン・レイアウトすることが必要です。現在はパソコンを使ったDTP制作により、印刷用データを制作しています。
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3.校正
レイアウト、文字組みされたゲラ(校正紙)を受け取り、誤字・脱字がないか、慎重にチェックします。最近はデジタルカラー校正が主流で、文字校正とカラー校正を同時に行なっています。またeメールなどのインターネットやデータ通信を利用して、PDF校正を利用する機会も増えています。
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4.刷版
DTPにより制作された印刷用データ原稿は、校了(校正完了)後、印刷用途と用紙に合わせて面付けしてから、オフセット印刷用の刷版を直接出力します。この方式はCTP(Computer To Plate)と呼ばれています。CTPの特長は印刷品質を向上し、印刷前の工程を簡略化して作業時間とコストを削減します。
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5.印刷・特殊加工・断裁
刷版(印刷の版)を印刷機に取り付けて印刷します。オフセット印刷機には単色機、二色機、四色機(さらに多色機)や1回の工程で両面印刷の出来る両面機など多くの種類があります。出来上がる印刷物に適した印刷機を利用して、用紙にインキで文字や画像を印刷します。
また、光沢を出すニス加工や箔押し加工、ホログラム加工など、印刷物のデザインや目的・用途に応じて、特殊加工を施します。
刷り上がった印刷物は、指定の大きさに断裁します。書籍などの頁物の場合は製本加工します。
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6.梱包・ご納品
加工が終わると検品し、指定部数ごとにきちんと梱包してお客さまのご指定先にお届けします。最近ではお客さまが欲しいときに、欲しい数量をタイミング良くお届けする「ジャスト・イン・タイム」納品を要望するお客さまも増えています。
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