Q. 「全従業者」の教育 プライバシーマークの規程で教育に際しては全従業者へ行うことにしていますが、当社には非常勤の役員や顧問という肩書の方は1年に数回しか出社させません。それでも教育は必要ですか?
また、普通の社員と同様に教育しなければいけませんか?
A. プライバシーマークのみならず社員教育は企業にとって大切なものです。特に社内規程で全従業者と定義されていれば行う必要があります。
非常勤といえども例外ではありません。取締役は会社内での役割を担っている訳ですから。また短期のパート・アルバイトも同様です。当該社の経営方針であり、個人情報や機密情報を扱っている場合でしたら教育は必須でしょう。 しかし、ご質問のように、年に数回しか出社されない、あるいは株主総会の時しかお顔を見せない方への教育については、工夫が必要かもしれません。窮余の一策ですが、株主総会や取締役で来社された際に、時間を作って当該社の個人情報に係る教育を行って欲しいものです。従業員と同様の教育、理解度確認ができないとすれば、最低限の個人情報保護(PMS)の重要性、利点、当該社の役割と責任そして違反した際に予想される結果の3点は教育され、少なくとも教育を受けたことの確認の署名(サイン)は証跡として残されることは必要です。
格言Ⅰ:“個人情報”を我が子と思え
プライバシーマークの現地審査に行った際、その会社は、個人情報にからむ作業が数日に及ぶもので、校正紙や刷り見本をそのままにしてオペレータが帰宅する場合があるとのこと。また、納品物も翌日になるというので、梱包したまま放置して作業を終了していました。そこで、注意を喚起する際に、ある大阪の事業所でのエピソードを例に引き合いに出します。 大阪の社長さんは女性ですが、放置してある印刷納品物を見つけた時に「みなさん、個人情報を含んだ印刷物は我が子同然です。折角苦労して作ったものを置きっぱなしにしている。もし、我が子であったら冷たい廊下や誰もいなくなった工場の中に置いて帰る? 赤ちゃんならちゃんとベビーベッドに入れてあげるでしょ。こんな風に置き去りはダメよ」と注意したと聞きました。この喩えは、女性社長ならではのお話だと関心しました。個人情報は我が子と思えとは言い得て妙な表現だと思い、以降、現地審査で日を跨ぐ場合の個人情報の保管⇒盗難防止策を徹底してもらう時に例に出しています。皆さんも仕事を終え、帰り支度で慌ただしい時、個人情報をこのように取扱って欲しいものです。
格言Ⅱ:“個人情報”が入ってきたら、『皆さん1万円が来たわよ』と!?
個人情報の授受で、約束では伝票に「P」のゴム印を押して他の物件と区別し、台帳への記載を義務付けています。 しかし、時に受注が立て込んでいる場合など、手順を疎かにしてしまうケースがあるとのことです。そうしたことをなくすために、その会社の社長は、P物件が入ってくると、「皆さん、1万円入ってきたわよ」と大きな声で云うことにしています。その理由を尋ねたところ、「P物件でも名刺とか小物だと、つい取扱いが疎かになりがちです。そこで私は敢えて、“1万円”と叫ぶんです。人間の心理で、個人情報の取扱いだとすると構えてしまう。確かに名刺の売値は1,000円かもしれないけれど、“1万円”と聞くと粗末にはしないもの。だから、従業員の意識が定着するまで1万円と云い続けました。意識付けを四角四面に大上段に考えると重くなってしまうのでこんな表現をしてきました」と、これも分かりやすい格言かと。